「歯性感染症を考える会」だより 第4号
1.理事会決議報告
平成8年3月30日(土)に「歯性感染症を考える会」第一回理事会が大阪で開催され以下のことが決議されました。
決議事項
年会費:現時点では予算の見積もりが明確でないので今年度は
10,000円で運営してみることとなった。
理事:上村恭弘会長により以下の先生が理事に委嘱された。
徳永恵子 村松洋司 本城範典
河津 寛 平井 順 加々美恵一
吉竹弘行 小川 歓 坪井新一
「歯性感染症を考える会」平成8年度会費10,000円をお送りくださいますようお願いします。
連絡先:〒534 大阪市都島区都島南通 1−1−4
小川歯科医院内 「歯性感染症を考える会」事務局
電話:06−6925−4188
2.好気性グラム陰性桿菌に対応するために
排除しにくい好気性グラム陰性桿菌のコロニー
第一回総会で、本会の講師であります吉田先生から、難治性根尖性歯周炎にみられた好気性グラム陰性桿菌は従来の4種類の抗生剤(ABPC,CMZ,EM,MINO)に対しては感受性を示さず、ニューキノロン系のオフロキサシン(OFLX)にのみ感受性を示したことが報告されました。同時にオフロキサシンなどのニューキノロン系抗生剤は根管から排除しにくいEnterococcus faecalisに対しても効果的であることが示唆されました。
この報告を受けまして、「歯性感染症を考える会」では会員に対してオフロキサシン(OFLX)の感受性ディスクのサポートを行うことにしました。
ご希望の先生は、事務局までご連絡ください。
なお、オフロキサシンは水溶性でないため局所投与用薬剤は調製できませんので、タリビット点眼薬(参天製薬)をご使用ください。
3.排除困難な細菌に対する対応
「歯性感染症を考える会」では、大学の先生方の協力を得て、会員の先生方が対処に困る細菌に遭遇した場合、速やかに対処法をお教えできる態勢をとりたいと思います。
また、一人の先生が遭遇した排除困難な細菌とそれに対する効果的な対処法は、会報またはお知らせという形で、すべての会員の先生方にお知らせしたいと考えています。
「会員の先生が排除困難な細菌に遭遇した場合は」
1.まず、その細菌が偏性嫌気性菌か通性嫌気性菌かを確認していただきます。
コロニーの一つを、カルチュレットでとり、別の培地(培養陰性だった培地を流用していただいて結構です)に塗抹し、好気状件下で培養していただきます。好気培養で生えてくれば通性嫌気性菌であり、生えてこなければ偏性嫌気性菌です。最初の嫌気培養では培養陰性であったのに、好気状件で放置しておいたら、菌が生えてきた場合は、好気性菌です。
先生が遭遇した細菌が、好気性菌、通性嫌気性菌あるいは偏性嫌気性菌かを「歯性感染症を考える会」事務局にご連絡ください。
2.好気性菌と通性嫌気性菌の場合は、培地の蓋が開かないようにセロテープなどで固定し、「歯性感染症を考える会」からお送りした封筒にいれて送り返してください。
3.偏性嫌気性菌の場合は、簡易嫌気バックをお送りしますので、同封の指示書に従って、簡易嫌気バックに封入した後、「歯性感染症を考える会」からお送りした封筒にいれて送り返してください。
4.対処法の情報は、1週間程度でお知らせ出来る予定です。
注意:多種類のコロニーが見られる場合は、薬剤が十分に感染部に達していないと考えられます。投与法を確認してください。取り除きにくい細菌が残存している場合は1、2種のコロニーになります。