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平成24年3月24日

平成23年度総会

総会 司会 小川歓

    1.歯性感染症を考える会振込み口座変更について

    2.培養困難な細菌のPCR検索の協力のお願い

 

講演会

演題@ 根管貼薬剤を細菌学的に考える

鶴見大学助教 加藤大輔先生

 根尖性歯周炎における歯内療法処置の目標は、根管内・根尖に残存する微生物を根絶することである。ところが、難治性の根尖性歯周炎罹患歯からは、種々の処置後でさえも、様々な微生物が検出されることが報告されている。今まで我々は、それらの微生物に対して根管模型・天然抜去歯での実験系を用いて、イオン導入法、および根管貼薬剤の抗菌効果を比較検討した。今回は、その結果をもとに、主にFCを中心とした根管貼薬剤を細菌学的に考察した。

 

演題A 歯科用ユニット水回路の汚染と鶴見大学附属病院における対策

鶴見大学助教 中野雅子先生

 対策を講じていない歯科用ユニットの水は給水管路(DUWL)内に形成されたバイオフィルムにより104?7CFU/mlに達する微生物が検出されている。鶴見大学歯学部附属病院ではその対策に積極的に取り組んでいる。本院では毎朝のフラッシングの他に、定期的にチューブ内のバイオフィルムを化学的に溶解するショックトリートメントを実践している。その他に2008年から設置された過酸化水素水を使用した水回路クリーンシステム搭載の歯科用ユニットの評価と,2010年からは微酸性電解水の生成装置を搭載し,DUWLに微酸性電解水を流入して診療に使用する試作開発した歯科用ユニットの有効性について評価し、良好な成績を維持しているので紹介する。

 

演題B 微生物を知る・エンドが変わる

東京開業 小山隆夫先生

 チェアーサイド嫌気培養システムを使用しはじめてから15年あまり、鶴見大学口腔微生物学教室教授前田伸子先生のご指導を仰ぐようになってから10年以上経ちました。この間自分のエンドは随分と変わりました。根尖性歯周炎の原因が感染であることが明々白々になった現在、改めて培養検査の意義とエンドの目標を考えてみたいと思います。何故こんなにも価値あるチェアーサイド嫌気培養システムが一般化しないのか。その理由の考察をとおして根尖性歯周炎の感染症としての特徴に焦点を当てます。さらに、それがエンドの目標を決定することをあきらかにし、次の課題を提示します。

 

演題C 歯内治療を成功させるために -過去の呪縛からの脱却‐

大阪歯科大学講師 吉田匡宏先生

 治療を成功させるために多くの指針や基準が提案され、原理や原則として受け入れられてきた。こうして構築された概念は、逆に治療と研究を束縛している。 これらは、臨床や研究によって検証され、淘汰されていくべきである。しかし、すでに否定された原理・原則や概念が未だに私たちを呪縛している。その代表が「根管充填」に対する信奉であり、「死腔」に対する漠然とした忌避である。「グロスマン的歯内治療の概念」も、その限界を見せている。「チェアーサイド嫌気培養システム」を活用するには、これら過去の呪縛から脱却することが必要である。